12/31/2008

今年のベスト5

2008年も今日で終わり。
今年のベスト5を考えてみた。

 …119冊
小説
1位 Self‐Reference ENGINE 円城塔
2位 乳と卵 川上未映子
3位 ばかもの 絲山秋子
4位 りすん 諏訪哲史
5位 ぼくは落ち着きがない 長嶋有

小説以外
1位 基礎情報学―生命から社会へ 西垣通
2位 自閉症裁判 レッサーパンダ帽男の「罪と罰」 佐藤幹夫
3位 フェルマーの最終定理 サイモン・シン
4位 デジタルのおもちゃ箱―MITメディアラボから見た日本 中村伊知哉
5位 佐藤可士和の超整理術 佐藤可士和

マンガ …62冊
1位 海街diary 1 蝉時雨のやむ頃 吉田秋生
2位 夜、海へ還るバス 森下裕美
3位 自虐の詩 業田良家
4位 おもいでエマノン 鶴田謙二
5位 鬼にもらった女 近藤ようこ

映画 …58作
1位 崖の上のポニョ
2位 自虐の詩
3位 殺人の追憶
4位 ローズ・イン・タイドランド
5位 ドッグヴィル

芝居や展覧会 …36こ
1位 インボイス劇場 ブルーマン・グループ
2位 森美術館 英国美術の現在史 ターナー賞の歩み展
3位 国立新美術館 エミリー・ウングワレー展
4位 東京国立博物館 対決−巨匠たちの日本美術
5位 国立新美術館 アヴァンギャルド・チャイナー<中国当代美術>ー二十年


こうしてみると自分の好みがよくわかる。本では世界の認識方法やワールドモデルについて、映画やマンガではそうして認識された世界でどう生きるのかということに強く惹かれるみたい。とくに「Self‐Reference ENGINE」と「崖の上のポニョ」と出会えたのは一番の収穫だったと思う。この2作は本当に豊かな作品体験をもたらしてくれた。

来年もいい作品に出会えますように。

12月まとめ

年末のばたばたで勉強も読書もいま一つ。
今月で診断士試験の勉強は終わり。今後はUSCPAに集中予定。

勉強
○中小企業診断士 7.0H
○USCPA 1.25H



自閉症裁判 レッサーパンダ帽男の「罪と罰」 佐藤幹夫  …5点
乳と卵 川上未映子  …5点
りすん 諏訪哲史  …4点
エクセレント・カンパニー トム・ピーターズ他  …3点
戦略的思考とは何か―エール大学式「ゲーム理論」の発想法 アビナッシュ・ディキシット/バリー・ネイルバフ  …3点
法廷会計学vs粉飾決算 細野祐二  …3点
知の編集工学 松岡正剛 …4点

マンガ
きのう何食べた? 2 よしながふみ  …5点
天顕祭 白井弓子   …3点
海街diary 1 蝉時雨のやむ頃 吉田秋生  …5点
海街diary 2 真昼の月 吉田秋生  …5点
ヴァムピール 2 樹なつみ  …4点
もやしもん 7 石川雅之  …4点
花よりも花の如く 6 成田美名子  …4点
鋼の錬金術師 21 荒川弘  …3点
大奥 第4巻 よしながふみ  …4点


映画
ピタゴラ装置 DVDブック2  …4点
ピクサー・ショート・フィルム&ピクサー・ストーリー  …3点
世界の中心で、愛をさけぶ  …3点
しゃべれども しゃべれども  …3点
追悼のざわめき  …4点

舞台・展覧会とか
演劇集団キャラメルボックス「君の心臓の鼓動が聞こえる場所」 …4点
夕学五十講 小山龍介「仕事を楽しむライフハック!」 …4点

【本】知の編集工学 松岡正剛

今年最後の読書。

小山龍介さんが講演会で松岡正剛さんについて話していたので読んでみた。松岡正剛さんのことは前々から気にはなっていてちょうどいい機会だし。

ここで語られる”編集”というのは、世界を認識し、対象を捉え、分析・結合を経て、意味を見いだしていくといった一連のプロセスそれ自体を”編集”として考察している。だから、雑誌を編集するとか新聞を編集するとか日常使う”編集”という言葉よりも、もっと広い概念での編集の話。

とにかく引用される知識の深さや広さが半端じゃない。哲学や言語学から生物学、ITまであらゆる分野を縦横に行き来している。一見関係のなさそうな分野の物事が編集の名のもとにかき集められて構成されることで、編集という概念が立体的に浮かび上がってくるように思う。

そうやって物事を取捨選択して何かの意味を見いだすこと自体が編集だし、編集という行為を考察することもまた編集の範疇になってくる。だから、編集というのはものすごく簡単に言いかえれば、世界の見方を定める、ということになるのかなと思う。でも、そこについてあまり考えることってあまりない。多くの場合は目先の物事にとらわれすぎていて、そうして目の前に現れているものの背景までは目がいかない。それはそれで不自由なく物事が回ってしまうけど、たぶんそうして目先だけにとらわれていては、いろいろな可能性を抑えてしまうし、もしかしたら何か大きな間違いを引き起こしているかもしれない。だからこそ、世界を捉えるべき視点が大事なんだろう。

12/29/2008

追悼のざわめき

何のきっかけで知ったのか忘れたけどずっと気になっていた「追悼のざわめき」を観る。

大阪西成”釜ヶ崎”の底辺のそのまた底辺で生きる人々の姿が強烈。釜ヶ崎の猥雑な感じと真夏のむしむしした空気感がさらに凶暴。暴力、殺人、人肉食、レイプ、近親相姦とあらゆるグロテスクな行為が繰り広げられるのだけど、誰一人として理由らしい理由を持たない。ただただその行為を淡々と行う。それは必然的に破滅へと向かっていくことは明らなのに、そうせずにはいられない、そうするほかないという脅迫観念じみたものに突き動かされているよう。ひとつひとつの行為は醜悪でも、そうしてうごめく様は物悲しさが常にあってそのうえ少しだけ美しくて、不思議な余韻が残る映画だった。




【今日の勉強】
○USCPA
Audit : テキスト読み込み(Subsantive Test)
Total 0.5H

【本】法廷会計学vs粉飾決算 細野祐二

日興コーディアル、ライブドア、NOVA、日本航空など野粉飾事件や疑惑の会社について、有報などの公開情報から会計的に分析を加えたものです。もともと著者が自らのメールレポートに掲載したものをほとんどそのまま採録したものなので、その後のフォローはほとんどないですし、内容の整理もされていないのでとても読みにくい。著者自身の筆力の問題もあると思う。それなりの会計知識が求められる上にこれだけ読みにくいとなると、読み切るのは相当な苦労を強いられます。
また、内容的にも、必ずしも多面的な分析が施されているわけではなくて、ケースによって分析手法やその深度も定まっていません。会計的理論の面でも?な部分も多いし、憶測に基づく一方的な主張も目につく。そういったところを考慮すると、内容の信頼性という観点からは若干の疑問が残ります。
そういった形で、全面的に支持することのできるものではないのですが、公開情報だけからこれだけの結論を導きだすことが出来るんだということには素直に驚くほかありません。特に、日興コーディアルの不正経理事件とそれに派生した形でおこった旧中央青山解体の引き金となった一連のレポートは圧巻。不適切な会計処理は財務情報のどこかに必ず歪みをもたらす、ということは確かに事実だと思うのですが、それを実際に見つけ出すというのは大変なことです。こういう目を養うことは長い経験と研鑽が必要なのでしょう。

12/26/2008

しごとおさめ

今日で2008年の仕事はおしまい。
仕事納めだからといってなにかあるわけではないし、年末年始は仕事がらみの勉強が山積みなんだけど。
それでもやっぱり1年が終わるというのはちょっとだけ感慨深い。


【今日の勉強】
○USCPA
Audit : テキスト読み込み(Test of Controlのところ)
Total 0.75H

12/25/2008

合格発表

口述試験、きのうが発表だったのですね。
郵便受けに郵便局からの通知が入っててようやく気付いた。

幸いにも合格してました。
いろいろな助けがあってこその合格。
感謝です。

とはいえ、実務補習を受けなくちゃいけないし、USCPAも継続中。
資格試験以外にも勉強することが増えそうな予感。
来年もなかなかに忙しい一年になりそうです。

【本】 戦略的思考とは何か—エール大学式「ゲーム理論」の発想法 アビナッシュ・ディキシット/バリー・ネイルバフ

経営戦略の本でも、ロジカルシンキングの本でもない。まるっきりゲーム理論の啓蒙書。
同時進行ゲームや交互進行ゲームと言った基本的なところから、契約やインセンティブなどほとんど別個の分野として成立してしまうような発展的なところまで、幅広くカバーされています。ケースがたくさん収録されているうえ、数式は全くと言っていいほど出てこないのでさらっと読める。

普通のゲーム理論の啓蒙書と違うのは、タイトルのとおり「戦略」という側面をとても強調していることでしょうか。普通であれば概念の紹介で終わるところ、そのゲームにおいて正しい戦略とは何か、正しい戦略を導くにはどのように考え論理展開をしていけばいいかというところまで述べられています。前述のケースの多様さとあいまって、理論と現実とがちゃんとリンクして、現実の中でゲーム理論を当てはめるなら?というところまで考えさせてくれます(もちろん、合理的な主体を想定するゲーム理論と現実とが完全にリンクしてしまうわけはないのですが)。

ゲーム理論として考えなくても、それぞれのケースをよく読み込んで戦略を考えるのは頭の体操としてもとても楽しいかもしれません。

12/24/2008

【本】 TIME HACKS! 小山龍介

時間管理についてのライフ・ハック集。「IDEA HACKS!
」にくらべると、内容的にはごく一般的で目新しさはなく、これはいい!というようなネタはあまりないかもしれない。どちらかというと、やれば便利とわかってるんだけどなかなか実践できない、というようなものが多い。それだけ、時間管理が難しいということかもしれない。

そもそも時間管理というのは、人によって目的もスタイルも様々で、個々のハックの集積だけではうまく行かないことが多いように思う。それは個人の時間との向き合い方、時間に対する意味付けに大きく依存して、まずは自分自身にとっての時間の意味を見つける必要があるんじゃないか。

著者はたぶんその辺についても考えているように思うし、先日聞いた講演でも個々のハック以上にものの見方や世界認識の仕方について語っていた。ただ、本の方は個々のハックの紹介がメインになってしまうから、そうした認識のベースを持たないままハックに飛びついてしまうこともありそう。そんな場合には、ちぐはぐなハックになってしまうのじゃないか。

だから、ハック以前の話としてのスタンスの設定が、ハックをすればするほど重要になってくるように思う。そういうプレ・ハックみたいなものをテーマにして本を書いたら、結構おもしろいとおもうんだけど。

12/18/2008

【本】 エクセレント・カンパニー トム・ピーターズほか

今となっては素朴な科学知識、当時の水準からみても無邪気すぎるマックス・ウェーバーの理解。論理展開のための材料の一つ一つが四半世紀のときの流れを感じさせます。エクセレント・カンパニーの条件としての、創発的な個人の行動とそれらの総合を全体として一定に方向づけるしくみ、という大枠自体、70年代に大きく進歩した分子生物学に出てきそう。

とはいえ、いくら古いと入っても、個々で述べられていることから私たちが学べることはまだまだ多い。多いからこそ、今でも名著として読み続けられているわけだし、多くの実務家や研究者に影響を与えてきたわけで。

エクセレント・カンパンートして紹介された企業の多くが今では全くエクセレントでなかったりそもそも消滅したりしてしまったということは、この本が批判される時に根拠になるわけだけど、それもこの本の主張が間違っているかどうかはわからない。エクセレントの条件自体が間違っているのか、企業がエクセレントの条件から外れてしまっただけなのか、そこは書斎に検討されるべきなんだろうと思う。そういう研究って、あるんだろうか。

12/14/2008

口述試験終了

診断士2次試験の口述試験を受けてきました。
これで今年の診断士試験はすべて終了。
あとは結果を待つだけ。





【今日の勉強】
○中小企業診断士
口述 最後の見直し
Total 0.75H

12/13/2008

君の心臓の鼓動が聞こえる場所

口述前日だというのにキャラメルボックス「君の心臓の鼓動が聞こえる場所」へ。

これぞキャラメルボックス!という王道路線で、笑って笑って少し謎解きがあって、最後に泣けるいい話でした。ここ2回くらいは演出的に余裕がない感じで期待を下まわっていたのだけど、今回はそういう窮屈さがなくてとてもよかった。黒川智花さんも、演技的にはまだまだ発展途上だけどがんばっていたし。

ただ、父と娘の二人で固定されていた視点移動が、最後の最後でくずれてしまって視点が定まらなくなってしまったのはすこし違和感があったかも。話の流れ上仕方のないところだとは思うし、人によっては全く気にならない(それ以前に意識すらしない)ことだけれど、そこだけが少し残念。


【今日の勉強】
○中小企業診断士
口述の準備 事例の読み込み
Total 0.75H

12/12/2008

年末の課題図書

ブックオフをぶらぶらしてたら「戦略的思考とは何か」を発見。原著のAvinash Dixit and Barry Nalebuff, Thinking Strategicallyはマンキューおすすめ本にも入ってて、読んでみようかなあと思っていたところ。原著は最近新版が出たばかりだから遠くないうちに日本語訳も新しくなるんだろうけど、せっかくの出会いなので買うことに。

他にも「自由からの逃走」や「法廷会計学vs粉飾決算」など前から読みたかった本も見つけて今日はなかなかの収穫。

これで年末に読む本は確保できたかな。


【今日の勉強】
○中小企業診断士
口述の勉強
Total 1.5H
頭の中で考えるのと声に出してみるのとでは感覚がぜんぜん違う。余裕があれば模擬口述にも行きたかったのだけど…

12/11/2008

マンキュー先生おすすめ

経済学部生で知らない者はいないマンキュー先生のおすすめSummer Reading Listを見つけました。ちょっと古いけど。

1 Milton Friedman, Capitalism and Freedom
2 Robert Heilbroner, The Worldly Philosophers
3 Paul Krugman, Peddling Prosperity
4 Steven Landsburg, The Armchair Economist
5 P.J. O'Rourke, Eat the Rich
6 Burton Malkiel, A Random Walk Down Wall Street
7 Avinash Dixit and Barry Nalebuff, Thinking Strategically
8 Steven Levitt and Stephen Dubner, Freakonomics
9 John McMillan, Reinventing the Bazaar
10 William Breit and Barry T. Hirsch, Lives of the Laureates

名著、傑作と呼ばれてるものが並んでる。
読んだのは8「ヤバい経済学」と9「市場を創る」のみだけど、確かに面白かった。
もうすぐ年末だし、いくつかよんでみようかな。

【今日の勉強】
○中小企業診断士
口述準備
0.75H

12/10/2008

接待

上司のお供で接待忘年会に参加。

大企業の重役たちに下っ端ひとりという状況で緊張しどおしだったけど、学ぶことのとても多い場でもあった。自社や取引先の社員とその家族数万人数十万人の生活を預かる立場から見る世界のスケールというのは、一介のサラリーマンや中小企業のオーナーとはまったく違う。あらゆる要素が会社の浮沈を左右する局面のなかで、微妙なそして時に大胆な舵取りを迫られる彼らの目線の確かさというのは本当に頼もしくて、自分自身もそんな視野をもちたいものだとつくづく思う。

それにしても、祖父と同じくらいの歳の方とのカラオケは、選曲に困るし聞いたことない曲ばかりだしで、本当に大変でした。

【今日の勉強】
○中小企業診断士
口述準備
1.0H

12/09/2008

今日の勉強

最近本読んでないなあ

【今日の勉強】
○中小企業診断士
2次筆記のまとめ 1.25H
整理してみると、筆記では放置されたままの問題点が結構あるのがよくわかる。
そういうところを聞いてくるんだろうか、それとももっとつっこんだ内容なんだろうか。

12/07/2008

ばたばたしてたら

あっという間に土日が終わってしまった。

【今日の勉強】
○中小企業診断士
TACの口述セミナーweb配信を少し見る 0.5H

ご迷惑おかけしました。

昨日のエントリーで多くの方を不快にさせてしまったようです。
礼儀を欠くうえ、わけのわからない文章でしかなかったようです。
わたしなりに考え言葉を選んで書いたつもりでしたが、考えが至らなかったかもしれません。
わたし自身礼儀を欠く売り言葉に買い言葉の応酬を望んでいるわけではありません。
なので、その発端となったエントリーは削除します。
エントリーを読んで不快な思いをされた方、申し訳ありませんでした。
このようなことのないよう注意しますので、今後ともご指導のほどお願いします。
本当にご迷惑おかけしました。

12/06/2008

思いを馳せる

削除しました


【今日の勉強】
○中小企業診断士
2次筆記の見直し 0.5H
2ヶ月近くも立つと自分がどんな答案を書いたのかなかなか思い出せない。

12/05/2008

【本】りすん 諏訪哲史

帯の文句は「アサッテ」実践編。”アサッテ”というのは、作者のデビュー作で137回芥川賞の「アサッテの人」のこと。(”アサッテ”がなにかは、本を読んでのお楽しみ)


開始早々は、どうやら白血病に冒されているらしい妹と、それを看病する兄のダイアローグ。確かに帯の文句どおりに、今回も”アサッテ”的な会話があるのですが、それは彼らが意識的にアサッテを利用して、周りを煙に巻いているだけで、前作のように本人が”アサッテ”なわけではなくて、前作とは似て非なるものになっていました。

これで「アサッテ」実践編と名乗るのはどうなのかなあと思っていたのですが、途中、この小説の”作者”な者が登場しだして、急に世界が”アサッテ”感を帯びてきます。兄妹の会話は”作者”により聞かれ書き写され小説として活字化され、それを兄妹が読んで自らの会話を変容させ、さらに”作者”が聞き書き取る……兄妹は小説によって作り出されたのか、兄妹が小説を作り出しているのか。

会話がどんどんうわすべりしていき、それでも小説は進み、うわすべりを加速させていきます。言葉を尽くせば尽くすほど増すうわすべり感は、かつてのニューアカ的な雰囲気があるのですが、そのニューアカ独特の僕らはそれを自覚してやっているんですという賢しらささえも、うわすべりの中に回収してしまっている分、ニューアカよりさらに一枚上手。そのうえ、そうした回収してしまう態度さえもさらに回収されうること、そうした回収に次ぐ回収が延々と繰り返されていくことを先回りして暗示してしまっています。

そうした差異化と、差異化を繰り返すことそれ自体が同質化を生み、さらなる差異化、同質化を拡大再生産させていくさまは、まさに前作「アサッテの人」でやったこと。ここまでくると、「アサッテ」実践編と言う理由がはっきり分かります。前作以上にアサッテな作品でした。

2次筆記結果&夕学五十講

2次筆記、合格でした。
事例4の手応えが微妙だったので、内心不安でしたがなんとか口述の切符を掴みました。
502教室の方はじめたくさんの人の応援と手助けのおかげです。本当にありがとうございます。
明日からいそいで口述の準備を始めます。


さて、今日は仕事を定時で切り上げて、夕学五十講へ。講演者はライフハックで有名な小山龍介さん。テーマはもちろんライフハック。前回行った尚姜中さんのときとくらべて、同年代ぽい人がおおかった。

ライフハックというと、こまごましたことがらをひとつひとつ改善していく積み上げ型の仕事術で、森を見るというより木を見るというイメージがありました。ところが、講演では、仕事のグランドデザイン、大枠のイメージの重要性が強調されていました。さらには、ワールドモデルをどう構築するかという極めて大局的な話まで。

ライフハックとワールドモデルがどうつながるのかは、本人がポランニーを引用した次の言葉が非常に簡潔に言い表しているように思います。

その先を想像しなければ、手元の情報の意味を知ることはできない。


目先の事柄にだけフォーカスしてもそこからは何の意味を見いだすことも発展することも出来ない。しかし、その先(一連の仕事の目標、何年後かの自分、さらには世界の成り立ち方=ワールドモデルまで)を見据えることで、いま目の前にあるその事柄が自分自身にとって、世界にとっていったい何であるのか、どんな意味があるのか、何をもたらすのかが見えてくる。そうしたずっと先の事柄と手元の事柄とを結ぶべきアートがすなわちライフハックなんだと。

正直なところ、ライフハックの具体的な例をいろいろ紹介する、という程度の話を想像していたのでかなり意外だったのですが、かわりに大変刺激的な講演でした。ライフハック自体は一見してみれば、小手先の知恵のようなものではあるのですが、その奥には小山さんなりの世界との関わり方についての深い考察があったのだなあと感得しました。

ちなみに、最後の質疑応答、あらかじめ用意された内容ではなく、その場で質問者に応えるわけですが、そのときに小山さんは非常に慎重に言葉を選んでいるのが手を取るようにわかりました。質問されてから答える間も答えている最中も、しばしば沈黙し考えられていたのだけど、何を答えていいのかわからない、というわけではない。答えたい内容は感覚的にわかっているんだけど、それを正しく言葉に表すにはどうしたらいいのか、ということを目一杯考えている。自分の言わんとすること、とくにまだ発話されていないために言葉としてまとめられていない自分自身の身体的感覚的な印象を、限られた時間、語数でどれだけ正確に伝えられることができるか、すこしでも自分の印象を伝えられる言葉を選び出そうとする意図が伝わってきました。

こうした講演をされる方で、あれだけ言葉選びに慎重な方はなかなか珍しいなというので大変印象に残りました.やはり、こうして言葉にこだわるというのは、けっして言葉の力を過信しているからではなく、言葉では伝えられないことがあるということ言葉には限界があることをわかっているからこそ、なんだよなあと思います。

今回も学ぶこと気付くことの多い講演でお腹いっぱいでした

12/04/2008

【本】乳と卵 川上未映子

豊胸手術に執着する姉と、筆談でしか人と交わらない娘、そして彼女たちを迎える妹という三者が三様に”女”というものを強く意識させます。姉はそれなりにいろいろな経験をして心の中にも人には話せないものを秘めているもののその関心は豊胸手術という即物的なものに向けられ、娘は娘で自分が生きていること女であることを抽象的に考えようとするけれどそこはまだ小学生で幼さが勝ってしまう。その二人の対比が際立つ。さらに、語り手である妹は最もバランス感があるものの、彼女自身の生活は停滞しきっており語るべきものも持たず傍観者になるしかない。それぞれが薄く交わりながら女というものとして生きていることが、ある夏の数日間を通して描かれます。


そうした話自体の面白さもさることながら、やはりなんといってもとにかく文体がすばらしくうまいこと。テーマ的に生々しさとか重さとかがあるのですが、文体のリズム感、スピード感が絶妙で読んでいて心地よさすらある。全体を通して倦まずにテンションが持続しています。ひとつひとつの言葉の選び方も非常に的確で、無造作に見えながら相当に計算された書きぶりです。同じ芥川賞でも「時が滲む朝」とくらべると、まったくレベルの違うことがはっきりとわかります。他の作品もよんでみたいものです。

12/03/2008

【本】 自閉症裁判 レッサーパンダ帽男の「罪と罰」 佐藤幹夫

誤解のないように言えば、自閉症だから責任能力がないといって減刑を主張するものではないし、その逆に自閉症だろうとなんだろうと凶悪犯罪者は厳罰にすべきだ隔離すべきだと主張するものでもありません。

もっとそれ以前の、もっと根本的な問題として、そもそも私たちは自閉症についてなにも知らないんじゃないか、自閉症の人々のかかえる問題について一顧だにしてこなかったのじゃないか、という問いう問いかけをしているのだと思います。

自閉症の人々の世界に関する認識、世界の成り立ちの把握の仕方は、いわゆる健常者の私たちとは違うもの。だから、私たちにとって些細なものが彼らにとっては存在を脅かすほどの重大事になり、いっぽうで私たちが大切と考えるものに対して彼らはなんら関心を示さなかったりする。ところが、社会は多数派の私たちの認識の下に成り立っているため、彼らにとっての世界とはどこかしらで齟齬が生じ、それが生きていくことの困難さを生み出す。それはときに犯罪という形で”逸脱”を生じさせてしまう。そして、その逸脱は裁かれるが、裁く司法の世界も、彼らの世界ではなく私たちの世界。

私たちの世界認識の枠組みをそのまま彼らに当てはめてしまうことで、果たして適正な裁判が成立するのか。そんな裁判で彼らは自らの罪を自覚し、悔い改めることができるのか。そうしたことに司法も社会も、私たちもあまりにも無理解ではなかったのか…

私たちの常識で理解できないことを異常という言葉で済ますことはできない。ここでは話の分かりやすさのために私たち=一般の健常者、彼ら=自閉症の人々という二分法を使ってきたけれど、そもそもそんな二分法で語ること自体がおかしなことだし、かといって、個性、個人差というものに還元してしまうことも違う。世界認識の多様さ、そしてその多様な認識をもつ人たちがともに生きていくことについて、もっともっと考えていく必要があるように思います。

とにかく考えさせられること、気付くことばかりです。当たり前のように考えている、人がこの社会で生きるということ、そのことの重大性に気付かされます。

12/02/2008

11月まとめ

今月は量的には低調。でもそれなりに充実した1ヶ月だったような。

勉強
○USCPA 10.9H



エロマンガ島の三人 長嶋有異色作品集 長嶋有 ……5
デジタルのおもちゃ箱―MITメディアラボから見た日本 中村伊知哉 ……4
電化製品列伝 長嶋有 ……4
企業分析入門 第2版 クリシュナ・G. パレプほか ……4
日経業界地図 2008年版 日本経済新聞社 ……2
日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で 水村美苗 ……4
オブ・ザ・ベースボール 円城塔 ……3
市場を創る―バザールからネット取引まで ジョン・マクミラン ……4
ゼミナール ゲーム理論入門 渡辺隆裕 ……3
時が滲む朝 楊逸 ……2


コミック
自虐の詩 (上) 業田良家 (下)  ……5
MW (1) 手塚治虫 (2) ……3
世界の終わりと夜明け前 浅野いにお ……3
チェーザレ―破壊の創造者 6 惣領冬実 ……4



展覧会とか
・Bunkamura ザ・ミュージアム「アンドリュー・ワイエス 創造への道程」 ……3
・サントリー美術館「ピカソ 魂のポートレート」 ……3
・国立新美術館「巨匠ピカソ 愛と創造の軌跡」 ……3