5/06/2009

【本】入門マクロ経済学 中谷巌

★★☆☆☆
試験勉強には役に立つかも。


一昔前ならマクロ経済学の超定番テキストの地位にいただけあって、全方位的にはずしのない構成。国民経済計算から、財・サービス市場、貨幣市場を経てIS-ML分析を紹介、さらに労働市場を加えてAD-AS分析にたどり着く。そのあとは、財政政策、金融政策、国際貿易、国際収支なんて論点をみていくという流れは、まさに日本の標準的なマクロ経済学。ひとつひとつの内容も、細かいところまで網羅しているし、それぞれ数式での説明もあるから、とりあえず資格試験に必要な論点はまんべんなくカバーしている。

でも、一方で、盛りだくさんに詰め込みすぎているきらいはある。前書きには”本書は経済学部の専門課程の学生、あるいは大急ぎでマクロ経済学の体系をマスターしたいと考える大学院生、公務員試験の準備のためにマクロ経済学を勉強している方々、世界経済の動向や金融市場に関心のあるビジネスマンや官僚の皆さん、ビジネススクールなどで経済学の基礎をしっかり勉強したいと考えておられる大学院生などを対象としています。”とある。つまり、学生、資格試験生、ビジネスマンまでほとんどあらゆる読者を対象に書かれている。でも、学生は考え方を、受験生は問題の解き方を、ビジネスマンは現実経済の動向を、それぞれ知りたいはずで、すべて盛り込もうとすればかなり煩雑にならざるを得ない。その結果、どの読者も不必要な部分が多い構成になってしまっているし、中途半端になっているように思う。

内容的に幅広く網羅されているので資格や試験勉強用にはいいけれど、概念の理解したりや現実経済の動向を知りたいのなら、別の教科書のほうが面白いし役に立つと思う。

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