5/27/2009

【本】組織の経済学 ポール・ミルグロム/ジョン・ロバーツ

★★★★★

経済学部に在籍しながらほとんど近代経済学を勉強しなかった学生時代だったけど、唯一おもしろいと思ったのがコースの定理でした。資産効果や取引費用がなければ当事者間の交渉で必ず効率的な実現すると言う定理を聞いて、経済学ってこんなにシンプルでエレガントな理論を導けるものなんだと感心した記憶がある。

そのとき授業で使っていたのがこの教科書。当時はミクロの基礎も知らず、さらに600ページ超の分厚さに尻込みして結局買わずじまいだった。今回ようやく一念発起して読んでみた。

学生のころよりはいくらか経済学の知識はあがっているつもりだけど、読み進むのはなかなかな難しい。注意深く読み進めないと論点の把握が少し難しいところがあって、ちょっと気を抜くていまどこで何をしているのか分からなくなる。数式なんかも出てくるので、そんなときは紙とペンを用意して手を動かしてみないと理解しにくいところもある。

でも、そうした難しさは論理的な厳密さを考えたら当然のことだし、かなり踏み込んだところまで説明しようとしているから無理もないことだと思う。それに、当時としては新制度派の中でもまだ定式化されていない最先端の理論も盛り込んでいたようだから、そういう部分はまだ整理され尽くしてなかったのかもしれない。

そうして苦労して読み進んで得るものは、やっぱり予想通りに大きいものがあります。単に市場に任せるわけでも中央集権化した管理体制で運営するわけでもなく、その両者のあいだのグラデーションの中で、どのように資源配分を効率化するコーディネーションを実現するか、そうしたコーディネーションが適切に行われる制度設計をどうするか、ということに関するヒントが多く見つかります。極めてアカデミックで理論的な話ではあるけれど、会社の組織構造や人事制度などにそのまま直結する話でもある。

個人的には興味があるのはやっぱり取引コスト理論(本書では取引コストの議論はすくないのだけど)。企業間の関係を取引コスト理論を使って分析してみたい。企業と企業の間にはどんな取引コストが生じて、それがM&Aやグループ再編でどう変化するのか、そういうことがわかれば、最適な企業間関係をあぶり出せるかもしれない。

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