6/06/2009

【映画】いけちゃんとぼく & 千と千尋の神隠し

○いけちゃんとぼく

★★★★★

試写会にて。

原作が原作だけにかなり不安要素だらけでしたが、結論からいえばかなり良かった、泣けた。

ヨシオの家族や友達の話を膨らませていてオリジナルな要素が多いのだけど、本来の話のコアになる部分はしっかり残しているからそこまで違和感なく見れます。それぞれのキャラクターも魅力的に描き込んでいて、いけちゃんとヨシオだけだった原作よりは世界に広がりがある。原作ファンとしては、いけちゃんをCGで描くというのが最大の懸念材料だったと思うけど、これも思ったよりは自然に仕上がっています。

でも、なにより良かったのはいけちゃんの声を演じた蒼井優。蒼井優がヨシオに語りかける声だけで泣きそうになるくらいい。「鉄コン筋クリート」でもとてもうまい印象だったので今回も悪くなさそうだとは思っていたのですが、まさかここまで雰囲気出てるとは思わなかった。蒼井優がここまでいいのなら、いっそのこと台詞のすべてをいけちゃんのモノローグにしてしまっても十分いけたのでは?

そんな感じだから、ラストは会場中すすり泣きの音が聞こえてた。ここまですすり泣きが聞こえるのって、映画では初めての経験かもしれない。ぼくもけっこう目頭が熱くなった。原作読んだことある人にもない人にもおすすめしたい映画でした。


○千と千尋の神隠し

★★★★★

金曜ロードショーにて。2度目。

あらためて観ると、最初観た時には気付かないものが見えてくる。

この映画って、個々の人物の行動を冷静に考えたら結構ちぐはぐで、あまり理屈では説明できないし、感情移入も難しい。だけど、なぜかすんなり入ってくるのは、各自の行動や台詞が昔話とか神話とかの下敷きがあるからなんだと実感。

例えば、最後の千尋とハクが別れるシーン、ハクが千尋に絶対に振り向いてはいけない、と言うのだけど、その理由は説明されない。それでも、なんで?と思う人はそんなに居ないんじゃないか。異界から脱出するときは振り向いてはいけない、振り向いたら悲劇が起こる、というパターンはとても普遍的なもので、誰もが知っている。だから、直接理由を語られなくても自然と了解できるんだろう。

そういう、語らずとも了解されるものと、語らなくては了解できないものとを、宮崎駿は相当用意周到に峻別して構成しているんだなというのに2回目にして気付いた。

用意周到といえば、ハクの正体は最後の最後で判明するけれど、実は序盤からヒントがちゃんと用意されていたんですね。1度目は全く気がつかなかったけれど、パターンさえ了解できていれば、ハクの正体に早い段階から気付けるようになっている。ほんと、よくできてるなあ。

ただ、こういった受け手の暗黙の了解を期待したやり方って、これからはなかなか通用しにくいものになって行くんだろうと思う。「春眠」といえば「暁を覚えず」とみんなが続けられるような、共通の認識はどんどん減っていくんじゃないか。ライフスタイルや価値観や教育といったものがどんどん多様化して行けばいくほど、みんなが持ってる共通の認識は減っていくし、それに頼ったコミュニケーションは成立しにくくなるばかりかかえって誤解を生みかねない。現代美術なんかはその最たるもので、現代美術の文脈をちゃんと認識できている人にしか作品の価値や意義なんて分からなくなってしまっているように思う。

みんなが認識できる最小公倍数で作品を作るのか、文脈を理解できる一部の人向けに作品を作るのか、その間のどこかにポジショニングするのか。難しい課題だなあと。

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