6/28/2009

【映画】サッドヴァケイション

★★★★☆

Helplessユリイカと続く三部作の最後なので、見なきゃ見なきゃと思いながらずっと見てなかった。思えばHelplessを見たのはもう10何年も前のこと。ちょうど日本映画にも興味が出てきた中高生のころ。ユリイカは学生の頃観に行って、あまりに長くてトイレを必死で我慢した記憶がある。そんなことを思い出してちょっと懐かしくなった。

三部作の最後ということでユリイカなみのスケールの大きい話なのかと思ったら、訳あり人が流れ着く運送屋での生活というこじんまりとした話。雰囲気もだいぶ気楽になっていて、前の2作みたいに眉間にしわがよるような感じでもない。バランスのいい日本映画という雰囲気の代わりに、ちょっと物足りない感じの序盤。

それが、後半いきなりバランスを崩して俄然おもしろくなる。うまく行きそうに見えた生活が完全に崩れていく。壊れていく中でどんどん強くなっていくのが母親の石田えりで、どんな状況になったとしても自分の血を引くものさえいれば前を向いていけるという力強さ。石田えりの笑顔が増えれば増えるほど不気味さが増してとても恐ろしい。そんな不気味さと裏腹ななぜかのどかなエンディングがまたいい感じ。

ユリイカの重厚さもいいけれど、これはこれでかなり好きな作品でした。

【本】なるほど図解 IFRSのしくみ あずさ監査法人IFRS本部

★★★☆☆

IFRSの全体像から項目別の説明まで、一通りの論点が網羅されています。日本の基準との違いも適宜解説してくれているから、IFRS導入でどの科目がどう変わるのかわかりやすい。これくらいではIFRS導入のための知識としては足りないけれど、IFRSってどんなもの?ということを理解するにはとてもいいでしょう。


いよいよ日本もコンバージェンスからアドプションに転換する方向性が明確になってきて、IFRSがらみの本が本屋にたくさん並んでます。会計事務所やシステム会社、コンサル会社なんかがJ-SOXの次を狙ってIFRS導入ビジネスを始めている。

でも、正直いかがわしい人がいるのも事実だと思います。ちょっと話しただけで知識がないのがまるわかりの人もいるし、間違った内容を得意げに話す人もいる。この本に書かれている程度の知識すらないのに、IFRS対応をうたったシステムを売り込んだり。システム構築などにそういう会社を採用してしまったら、それこそ導入できるものも導入できないんじゃないか。

そうした人々に引っかからないためにも、この本で最低限の知識を得ておくのは大切かも。

【本】改訂版よくわかる介護・福祉業界 (業界の最新常識) 吉村克己

★★★☆☆

介護業界に関する知識が入り用になったので購入。
介護保険から始まって、業界の主なサービスや資格まで幅広く紹介されている。介護業界は、介護保険制度やなんか独特な部分があるので、こうやってまとまっているのはとても便利。これ一冊で介護業界がわかるわけもないけれど、どういう論点があってどんなリソースを参照するべきかを知る最初の一歩としてはいい。

ただ、ちょっと著者の書き方が中立的でないのが少し難点。平成18年度の制度改正に対してかなり批判的な態度で、その姿勢がそのまま書きぶりに現れてしまっている。政府の方針に納得できないのはわかるけれど、こういう本は極力主観を排除して、それぞれの政府、要介護者のそれぞれの意見、メリット、デメリットを列挙してほしい。

6/27/2009

【本】 兜町コンフィデンシャル—株式市場の裏側で何が起きているのか 高橋篤史

★★★★☆

前著の「粉飾の論理」がめちゃめちゃおもしろかったので期待して購入。前著でも、市場の裏側にうごめく不気味な人脈を活写していたのだけど、今回はさらにつっこんでいる。経営者側からの記述が多かった前著に対して、今回は裏側の人々の記述がとても多い。

上場企業にまつわるわりと有名な事件からそうでもない小さな事件まで取り上げて、それぞれの事件の経緯をとても丁寧に描いています。そういうひとつひとつの事件はそれぞれ関係ないように見えて、少数の人物たちのつながりのなかで展開されているのを、丁寧な取材であぶり出している。そういう人脈を追っていくところなんて、ミステリー小説を読んでるようなスリリングさがあります。最後まではっきりしないつながりがあったり、あまりに複雑に入り組んだ関係でちょっと読んだだけじゃぜんぜん把握できなかったり、というのはミステリー小説とは違うところ。

上場企業といったら一般にはそれなりに優良企業というイメージがあるけれど、そんなところにもこれだけの反社会勢力が食い込んでいるってのは本当に恐ろしい。そうした反社会的勢力が、時には合従連衡したり、時には追い落としや裏切りを画策したりという過程で会社が食い物にされていくのは、じつは僕たちが思っている以上に多いのかもしれない。

6/26/2009

委員会等設置会社???

今日の日経に載っていた新生銀行とあおぞら銀行の統合記事がでてました。
統合後は、委員会等設置会社にするとのこと。

?????

委員会”等”設置会社は旧商法の話じゃなかった?
会社法では委員会設置会社になったはず。
もう3、4年も前のことだと思うんだけど。
それとも銀行業法ではいまだに残ってたりするんだろうか。

6/23/2009

【本】新ネットワーク思考ー世界のしくみを読み解く アルバート・ラズロ・バラバシ

★★★☆☆

ダンカン・ワッツの本を前に読んだので、今度はバラバシを。ワッツの研究がどちらかといえば既存のネットワークの性質を読み取るというような静的な印象を受けたのに対して、バラバシのほうはもっと動的。ネットワークが成長していくとき、それ自身の性質でどんな形に進化していくのか、という感じ。

特に、富めるものがいっそう富む、という法則が、ネットワーク自身の特性からせつめいされてしまうというのはとても興味深い。つまり、なにか人為的なボトルネックやバイアスでネットワークの機能が制限されるからではなくて、ネットワークが完璧に機能するからこそ富の偏在が起こるということなんだろう。市場の規制や政策による所得配分を正当化する根拠になる日がくるのかも知れない。

TOEICの結果

TOEICの結果が出た。
リスニングが340、リーディングが375の合計715点。
前回は365+335=700だから、リスニングは落ちて、リーディングがあがったってことか(前に受けたのは4年も前だけど)。

リスニング重視で勉強してたわりにはあまり成果がでていないみたい。少し勉強法を考えてみないと。

6/21/2009

【本】メディアアートの教科書 白井雅人ほか

★★★☆☆

池田亮司展に行ってみて、メディアアートについての知識はほとんどなかったことにようやく気づいた。これはいかんと思って読んでみた。

50年代くらいからのメディアアートの歴史が簡潔にしるされていて、テクノロジーの進歩と歩調を合わせて発展してきたのもよくわかる。最初のうちは新しい技術を使うこと自体が目的だったのが、やがて表現のために技術が使われるという方向に進んできたんだというのをみると、よちよち歩きの子供が成長しているような感じがする。

ただ、思想面での解説はあまり多くなかった。メディアアートは、メディア自体が社会や認識にどう影響をあたえるのかっていう面もさけて通れないところだと思うから、そうすると思想面での理解がないとなかなか難しいはず。マクルーハンくらいはさらっと触れられていたけれど、もう少し詳細に説明してほしいところだった。

あとまあ、あたりまえだけど、実物を見ないことにはよくわからない。絵や彫刻ならまだしも、動きのあるメディアアートだ写真をみただけではぜんぜんわからない。やっぱり足をつかって実物をみないと。

6/19/2009

【映画】蟹工船

★★★☆☆

試写会にて。

去年くらいからやたらとブームになってる蟹工船の映画化。映画なんてそんなすぐに作れるわけないのに、よくブームを捉えてタイムリーに映画化できたものだと思う。

あれだけ話題になってる原作は読んだことがないので原作とは比較できないけれど、ストーリーはそんなに特徴があるわけではなくて、わりとおとなしめだった。労働者を虐げる役の西島秀俊が杖で殴りつけるくらいしか鬼監督っぷりを発揮しないから、思ったほど地獄な感じがしない。だから、蟹工船の劣悪な環境で労働を強いられている労働者が、自らの権利を求めて立ち上がるだけの説得力に欠ける。ただでさえ現代では感情移入しにくいストーリーなのだから、立ち上がる根拠はもっとしっかり描き込むべきだったと思う。

ストーリーはそんな感じだけど、役者だけでみたらものすごくよかった。脇役の高良健吾、新井浩文がものすごく雰囲気が出ていたし、TKOの木本が意外と味があった。もちろん、主役の松田龍平も。それぞれ画面でとても映えていて、役者を見るって意味では結構満足な映画かもしれない。

6/18/2009

6月18日の日経

今日の日経の大機小機はいつになくおもしろかった。

政府の補正予算について、
①財政均衡から需要拡大へ舵を切ったこと
②公共投資が多くて需要創造が期待できること
③増税ではなく国債発行による資金調達が行われていること
の3点から評価している内容。

政府支出が需要穴埋めの道具にしか捉えてないし、支出をすれば景気が上向くという単純な因果関係で経済が語られている。

極めつけがこれ。
国債の増加は、それを買う国民の金融資産の増加である。
それはデフォルトがおこらばっていう大前提が必要だし、最終的には国民の税金が返済の財源になる。返済がうまくできたとしてもインフレになれば実質的な国債の資産価値は目減りする。だから、国債が実質的なキャッシュフローがプラスになるような金融資産になるためのハードルはかなり高いと思う。

これだけむちゃくちゃだと、たぶんこの人本気で書いてないってのがわかる。たぶん冗談かバラマキ予算への皮肉の意味で書いてるんだろう。日経もこういう冗談を載せられるほどに懐が深くなったんかなあ。

6/17/2009

【本】【超】WORK HACKS! 小山龍介

★★★★☆

IDEA HACKS!」では、小ネタ集的な雰囲気が強かったのだけど。今回も小さなハックの集合体ではあるけれど、ハックの積み重ねとしての全体像がしっかりと見える形で構成されている。ひとつひとつのハックが一貫した方向性や背景をもっている感じ。

夕学五十講での講演を聴いたときにも感じたのだけど、小山龍介さんが伝えたいのはハックそのものではなくてハックに至る思想、ハックで目指す思想の部分なんだなと思う。そうした思想がいちんと自らの中で消化されているから、ここのハックが一貫性をもって機能する。IDEA HACKS!はその点ハック自体に重心が行き過ぎてしまっていてバックボーンまでは見えずらかったが、こっちはそうした部分がはっきり見える。だから、今読むなら断然こっちだと思う。

それと、「優れた人に私淑する」に書かれていた以下のくだりが、個人的には印象的だった。
本質的なことを話そうとするとどうしても言葉では説明しきれず、歯切れが悪くなってしまいます。(略)歯切れの悪さは、問題と現在進行形で格闘している人が持っている共通点なのです。
夕学五十講での小山龍介さんは、まさにこの状態。歯切れの悪さを恐れず、それでもなんとか伝えようとひとつひとつ言葉を選ぶ姿がとても印象に残っている。

【メモ】
・ノウハウ本の選び方
①フレームワークが提示されている
②裏話が満載
③古典の一説が引用されている
・ものごとの本質を三位一体で考える
・時間は消費するものではなく、適切なタイミングで適切に利用する「資産」と捉える
・21世紀は方法の時代
・分析ツールはすでにマネジメントされてしまったビジネスやプロジェクトを分解するツールでもある

6/14/2009

スニーク・プレビュー!

○今度は愛妻家

★★★☆☆

スニーク・プレビューとかいう企画の招待があたって、東映本社の試写室へ。スニークというのは、内密の、予告なしの、という意味らしい。

で、始まったのが、行定勲の最新作「今度は愛妻家」。まさか行定の新作が見れるなんて。しかも、まだエンドロールも主題歌も入っていない未完成作。こういう機会はなかなかない。

映画自体は、最悪なタイトルのわりに思った以上に泣けてよかった(元がそういうタイトルだからしかたない)。話は典型的な喪失と再生の物語でそれほど特徴的なところもないけど、出演者がとてもよかった。薬師丸ひろ子がびっくりするくらいかわいいし、豊川悦司もダメだんなな感じが似合ってる。石橋蓮司のおかまは「キッチン」の橋爪功にはかなわないけどなかなか。

あとちょっと長過ぎるのが難点だけど、これはきっとこれからもっと切ってまとめるんでしょう。

○つみきのいえ

★★★★☆

とても静かな雰囲気でとてもよかった。ひとりぼっちで住む老人が、自分の人生を振り返るというベタな話なのだけど、そのプロセスがとても丁寧に描かれているからとても感じがいい。台詞はいっさいなくて、すべて映像だけで十分描かれている。ラストが少し物足りない気もするけれど、これくらい何もなくてもぜんぜん悪くない。

ただ、全体的にヨーロッパなテイストで描かれているのは少し気になった。たしかにヨーロッパな雰囲気がいちばん似合うストーリーと設定だけども、日本の作品としてアカデミー賞やメディア芸術祭の大賞をとるのなら、日本なりの雰囲気が欲しかったなあと。


○イノセンス

★★★★☆

ブルーレイで見直すと本当に映像がきれいでびっくりする。
どのシーンも細部まできっちり書き込まれているし、色彩もとても鮮やか。
DVDで見るのとはまたぜんぜん違う。画質以外はまったく同じなのに、これだけ印象がちがうってのはすごい。

6/13/2009

【本】芸術起業論 村上隆

★★★★☆

これはすごい。西洋芸術の文脈を徹底的に読解し、それにあわせて自らのアートを用意周到にマネジメントしている。それを、ここまで隠さず開示してしまっていいんだろうか、というくらいにはっきりと見せている。これだけはっきりした姿勢を打ち出せば、当然、賛も否もあると思う。

何百年も前から積み重ねられてきた西洋芸術の世界では、ガチガチに固められた文脈の中でのゲームのルールがあって、それに従っていないものは見向きもされない。常に文脈の先端を行くことが要求される。先端に行ったとしてもそれはすぐに文脈の中に回収されて同質化され価値を失う。だから、常に同質化から逃れるように先端を走り続けないといけない。

そういう、絶え間ない差異化と差異の回収による同質化というのは、見方によっては市場経済によく似ている。その中で、西洋芸術の文脈という市場を徹底的に読み解き周到にマーケティングすることで、作品=商品をマネジメントしていくというのは、まさに起業そのものだと思う。「芸術企業論」てどういうことだろう、と思ったけれども、読んでみればとても的を射たタイトルなんだなってことがわかる。

そういう視点でいくと、作品だけでなくて作品をマネジメントするという活動の全体が芸術活動なんだな、と感じるけれど、それはあくまで外から見た場合の話だけかもしれない。村上隆としてはそうしたマネジメントはあくまで作品のための道具・手段なんだろう。だから、芸術企業論というのは、芸術=起業ではなくて、芸術のための起業、であって、起業そのものは関心の中心ではないんだろう。起業とかマネジメントとかそれ自体を中心テーマとして展開する芸術的な活動ってのはないんだろうか、とふと思った。

6/11/2009

【本】暗黙知の次元 マイケル・ポランニー

★★★☆☆

暗黙知というと野中郁次郎だが、同じ暗黙知を使っているとはいえポランニーと野中とではかなり認識がちがうのかなーと思う。

野中の暗黙知の区分は、現時点で言語化されているかいないかというところにあるんじゃないかと思う。今は暗黙知であっても、何らかの操作によって将来的には(ある程度)言語化できるわけで、潜在的な形式知予備軍と言えるもの。だから、SECIモデルのようなサイクルが出来上がる。

それに大して、ポランニーの暗黙知は、そもそも言語化が非常に困難なもののように思える。言語化されうる知識とは別の次元で、言語化されるどころか意識化すらもされない知識が知識が背後に控えていて、それが言語化された知識をささえている。そして、その背後にある暗黙知は常に更新されつづけていくし、暗黙知自体がさらなる知識を志向するというような考えでいいのだろうか。

最近、経済・経営系の本ばかり読んで頭が慣れてしまっていたので、読むのにかなり苦労した。、この理屈がどの程度妥当な理論なのかまではよくわからないけど、知識がどのように志向されるのか、そしてどう獲得されるのか、という視点からは示唆が多くて面白かった。

今日の日経 2つ

今日の日経新聞「大機小機」は株主主権論への批判的な記事。

たいして貢献していない株主の権限が過大だという記事の主張には賛成できないし、株主主権論の高まりが日本企業の経営を悪化させた原因だとする考えにもほとんど根拠がない。

とはいえ、会社は株主のものに決まってるじゃん、という主張は、それはそれで単純にすぎるだろと思います。企業は資本金だけでなくて、さまざまな要素を調達して活動を行う。その要素を提供するあらゆる利害関係者の中でなぜ株主だけが企業の所有者なのかというと納得する理由が思いつかない。

資本の所持が最大の価値というような古典的な経済観ならそれも妥当だろうけれど、現代はそういうわけでもない。最大の価値はアイデアだったり優秀な人材だったりするかもしれない。

だから、企業活動を駆動させる要素を提供する様々な利害関係者が、それぞれの貢献度に応じて企業を所有して運営していける仕組みがあったら、と思うのだけど、現代の会社法はそこまで対応していない。そもそもそんな仕組みをどう実現できるかもわからない(LLCやLLPでは難しい)。

あるべき制度を模索するにも、会社は誰のものかという議論は考えていくべきだと思うけど、最近はそういう議論もすっかり下火になってしまっている。ちょっと前までは株主主権論が声高に叫ばれ、それを批判する立場からの主張もあって、というように議論する空気があったものだけど残念なことです。


話は変わって、今日から文化面で山口晃の「美のよりしろ十選」が始まった。山口晃かー、山口晃が日経で連載するのかー、とちょっと驚いたけど、おもしろい。

日経の文化面は、渡辺淳一が小説連載してたり社長さんが私の履歴書書いてたりと、おっさんターゲットなんだけど、この「○○十選」だけは人選がいつも面白い。ちょっと前は佐藤可士和だったし。あきらかに他の記事と読者層がかぶらないと思うんだけど、人気あるのかな。

6/08/2009

無理な意味付け

今日の日経で気になったのはこのふたつ。

その1
今回の経済危機では、CEOが一人ですべてを抱え込み「何でもできる」と見せる経営が、破綻に向かうリスクをはらむことが明らかになったー―1面「大転換」

そんな話いつどこで明らかになったんだろう。
ガバナンスや規制の話からの派生だろうけど、それでも飛躍し過ぎている。

その2
プレゼンツールのお手のもとかと思えば、「思考の手段になじまない」というー―12面 インタビュー領空侵犯

インタビュー後の記者のコメント。
プレゼンツールは名前のとおりプレゼンのツールなんだから、思考の手段になじまないとしてもそれは当たり前。
それに、肝心のインタビュイーの野口氏はプレゼンツールに頼りすぎて目的を見失ったプレゼンを批判しているだけで、思考の道具が云々て話はしていない。本文との関連もちぐはぐ、文章自体もちぐはぐ。

無理な意味付けや過度な解釈はかえって物事を見えなくすると思う。無理してまで意味付けするくらいなら、何も語らないで事実だけを述べた方がまだましだと思うのだけど。

【舞台】劇団四季 ウィキッド

★★★★★

いままで観た四季の作品の中で、いちばんかもしれない。

オズの魔法使いをベースに善き魔女と悪き魔女との間の知られざる絆を描いたストーリーナノだけど、想像以上に奥が深い。
後の悪き魔女になるエルファバは醜い外見によって疎外されたのだし、悪き魔女になるきっかけは迫害される動物たちを助けるため。徹底的にマイノリティの側にたつという信念がさらに彼女を孤立させてしまうという構図。
一方の善き魔女グリンダは美しく誰からも愛される人物ながら、魔女としての才能は持ち合わせないし、もっとも愛された相手からは愛されない。外から見た幸福な姿と本当の自分自身のギャップに苦しんでいる。
そういう二人の立ち位置の違いが結果的に二人に別々の道を歩ませることになるという構成がものすごく感動的でした。オズの魔法使いという一見子ども向けなストーリーをベースにしながら、差別だったり生き方の違いだったりという重いテーマを扱っていてとても考えさせられる。

テーマの良さだけでなくて、歌を聴くだけでも十分すぎるくらいすばらしい。主人公エルフェバのソロが多いのだけど、目一杯歌い上げる感じの歌が多くて、本当に聞き惚れる。衣装のデザインもボリューム感があって好みだし。なんというか、どこをとってもすばらしすぎる。

これは確かに世界で大ヒットするだけはある。ぜひ本場のオリジナルバージョンを観てみたい。

6/06/2009

【美術館】池田亮司展 +/-[the infinite between 0 and 1] 

池田亮司がどんな人物でどんことをしているひとなのか予備知識ゼロ。メディアアートっぽいことやってるのかなというだけで言ってみた。

円周率を表す細かな数字がびっしりと彫り込まれた鉄板や、何らかのデータや法則から生成された映像を投影する作品など、データの存在を視覚的音的に表現するような作品が多い。これだけのデータや情報に囲まれて生活しているという事実が直接的に迫ってくる、という感じだろうか。

ほとんどの作品がモノトーンでまとめられていて、単純にかっこいい。フォントのひとつひとつまでしっかりとデザインされて、とても洗練された印象。基本的な表現のところの構築に力を注ぎすぎて作品としての完成度はいまひとつというものもメディアアートの中にはあるけど、これはそういうことが全くない。メディアを使うこと自体が実験的だった時代の作品ではなくて、あくまで表現のためのツールとしてメディアが捉えられているという感じ?

ただ、その表現自体は、アナログからデジタルに移行した世代の捉え方だなあと思う。物心ついた頃にはデジタルが身の回りにあった世代はこういうデジタルデジタルした表現はしないんだろう。どんなに一線級で洗練されても、やっぱり20世紀のものの見方なんだろうなあと思う。


追記
後から知ったのだけど、dumb typeの音楽を担当していた人なんですね。dumb typeの最後のパフォーマンスになった「Voyage」を観たことがある。言われてみれば雰囲気似ているかも。

【映画】いけちゃんとぼく & 千と千尋の神隠し

○いけちゃんとぼく

★★★★★

試写会にて。

原作が原作だけにかなり不安要素だらけでしたが、結論からいえばかなり良かった、泣けた。

ヨシオの家族や友達の話を膨らませていてオリジナルな要素が多いのだけど、本来の話のコアになる部分はしっかり残しているからそこまで違和感なく見れます。それぞれのキャラクターも魅力的に描き込んでいて、いけちゃんとヨシオだけだった原作よりは世界に広がりがある。原作ファンとしては、いけちゃんをCGで描くというのが最大の懸念材料だったと思うけど、これも思ったよりは自然に仕上がっています。

でも、なにより良かったのはいけちゃんの声を演じた蒼井優。蒼井優がヨシオに語りかける声だけで泣きそうになるくらいい。「鉄コン筋クリート」でもとてもうまい印象だったので今回も悪くなさそうだとは思っていたのですが、まさかここまで雰囲気出てるとは思わなかった。蒼井優がここまでいいのなら、いっそのこと台詞のすべてをいけちゃんのモノローグにしてしまっても十分いけたのでは?

そんな感じだから、ラストは会場中すすり泣きの音が聞こえてた。ここまですすり泣きが聞こえるのって、映画では初めての経験かもしれない。ぼくもけっこう目頭が熱くなった。原作読んだことある人にもない人にもおすすめしたい映画でした。


○千と千尋の神隠し

★★★★★

金曜ロードショーにて。2度目。

あらためて観ると、最初観た時には気付かないものが見えてくる。

この映画って、個々の人物の行動を冷静に考えたら結構ちぐはぐで、あまり理屈では説明できないし、感情移入も難しい。だけど、なぜかすんなり入ってくるのは、各自の行動や台詞が昔話とか神話とかの下敷きがあるからなんだと実感。

例えば、最後の千尋とハクが別れるシーン、ハクが千尋に絶対に振り向いてはいけない、と言うのだけど、その理由は説明されない。それでも、なんで?と思う人はそんなに居ないんじゃないか。異界から脱出するときは振り向いてはいけない、振り向いたら悲劇が起こる、というパターンはとても普遍的なもので、誰もが知っている。だから、直接理由を語られなくても自然と了解できるんだろう。

そういう、語らずとも了解されるものと、語らなくては了解できないものとを、宮崎駿は相当用意周到に峻別して構成しているんだなというのに2回目にして気付いた。

用意周到といえば、ハクの正体は最後の最後で判明するけれど、実は序盤からヒントがちゃんと用意されていたんですね。1度目は全く気がつかなかったけれど、パターンさえ了解できていれば、ハクの正体に早い段階から気付けるようになっている。ほんと、よくできてるなあ。

ただ、こういった受け手の暗黙の了解を期待したやり方って、これからはなかなか通用しにくいものになって行くんだろうと思う。「春眠」といえば「暁を覚えず」とみんなが続けられるような、共通の認識はどんどん減っていくんじゃないか。ライフスタイルや価値観や教育といったものがどんどん多様化して行けばいくほど、みんなが持ってる共通の認識は減っていくし、それに頼ったコミュニケーションは成立しにくくなるばかりかかえって誤解を生みかねない。現代美術なんかはその最たるもので、現代美術の文脈をちゃんと認識できている人にしか作品の価値や意義なんて分からなくなってしまっているように思う。

みんなが認識できる最小公倍数で作品を作るのか、文脈を理解できる一部の人向けに作品を作るのか、その間のどこかにポジショニングするのか。難しい課題だなあと。

6/04/2009

【本】 業界分析 組織の経済学—新制度派経済学の応用 菊澤研宗

★★★☆☆

専門書にしてはなんだか切れ味悪い文章だなあと思ったら、大学院生のレポートをまとめたものでした。

用語の定義や論理展開などのひとつひとつが微妙に曖昧ではっきりしない。そういうはっきりしないものが積み重なった結果すごくぼんやりとしたものになってしまっている。
実際の分析も、印象論が先立ってしまって産業構造を明示できていないし定量的な分析も全くない。通常の戦略論の分析の中に、ちょっと新制度派の用語をちりばめた程度の内容になっているように思える。

それと、どの論文もはじめに妙に社会学っぽい話から始まるのに、実際の分析とほとんど関連しないのも無理に知的に見せようとしているようで気恥ずかしいなあと。何の気なしに読んでいるけど、やっぱり一線で活躍している学者さんの本てのはちゃんとしてるんだなあ。


ただ、新制度派の理論をつかって業界を分析するというアプローチはとても面白い。これを財務情報から定量化できるまでになれば、いろいろ実際の企業行動が説明できるようになるんだろうとは思う。実務的にもM&Aで使えるツールの開発とかできるかもしれない。

前提をそろえる

昨日の日経の「大機小機」で「米国企業のガバナンスの弱点」という論考が掲載されていました。

要約するとこんな感じで、米国型のガバナンスを批判した内容。
--------------------------------------
金融危機の原因である過大な報酬に歯止めがきかなかったのは、取締役会で役員の報酬を決定できる米国型ガバナンスの仕組みによる。

一方、日本型の仕組みなら株主総会決議で役員の報酬総額が決定され過大な報酬を防止できる。

だが、米国型を手本にして導入された委員会設置会社は取締役会で報酬が決定される。過半数の社外取締役が必要であるが、牽制能力のない人物が選任されてガバナンスは適切に機能せず導入は失敗である。
--------------------------------------


過大な報酬と金融危機の結びつけは安易すぎるだろーとか、日本のガバナンスに批判があったから委員会設置会社が導入されたんでしょ、とか、突っ込みどころはいろいろあるけど、その中でも株主総会のガバナンス機能についての記述はひどい。米国型と日本型とで前提からして異なっていて論理的に破たんしてしまっています。


日本型では、取締役の報酬を株主総会で決定できるから過大な報酬に歯止めがかかる、としています。株主総会のガバナンスが有効に機能するから大丈夫、と言っているわけですね。

一方、米国型を手本に導入した委員会設置会社は、社外取締役が報酬委員会の過半数を占めることでお手盛りを防止することになっているけれど、社長の飲み友達が社外取締役に就任したりで制度が期待するガバナンス機能を果たせないよ、と批判しています。

でも、その社外取締役を選任するのは株主総会。有効なガバナンスが期待できない人物が選任されてしまうのは、株主総会によるガバナンスが機能してないということに他なりません。

つまり、日本型ガバナンスの説明をするときは株主総会のガバナンス機能の有効性を前提にロジックを組み上げているのに、米国型を論じるときはガバナンスが有効に機能しないことを前提にして話を進めているわけで、ダブルスタンダードになっている。これではフェアではないし初めから結論が見えています。

二つのものを比較するときは条件をそろえないといけない、というのは小学校の理科でも習ったと思うんだけどね。

6/02/2009

5月の勉強の備忘

【5月6日の勉強】
○USCPA BEC Business Structure 問題集 Corporation19問 1.0H
次回からはMA&FMの問題集をやる。

○英語 ESL Podcast 0.25H
割と聞き取れた。

【5月7日の勉強】
○USCPA BEC Information technology 問題集 15問 0.75H
MA&FMを忘れたので仕方なく問題集。


【5月12日の勉強】
○USCPA BEC MA&FM 問題集 7問 1.0H
Prime costとは?

【5月17日の勉強】
○英語 ブログ読む 1.5H

【5月18日の勉強】
○英語 ブログ読む 0.5H

【5月19日の勉強】
○USCPA BEC MA&FM 問題集 1.の残り&2 8問 1.0H
○英語 Listening Podcast 0.5H


【5月20日の勉強】
○USCPA BEC MA&FM 問題集 3の途中まで3問 0.5H
○英語 Listening Podcast 0.5H

【5月21日の勉強】
○USCPA BEC MA&FM 問題集 3ののこり6問 0.75H
○英語 Listening Podcast 1.0H

【5月22日の勉強】
○USCPA FAR 問題集1 5〜6と、7の途中まで 0.75H
○英語 Listening Podcast 0.5H

【5月25日の勉強】
○英語 Listening Podcast 0.75H
朝うまく起きれなくてUSCPAは中止。


【5月26日の勉強】
○USCPA FAR 問題集1 7.Monetary Assetののこり 0.75H
Allowanceの処理がうまくいかない。
貸倒債権の回収があった場合にAllowanceの計算にどう影響するのかまだよくわかっていない。
○英語 Listening Podcast 0.5H
今日のはよく聞き取れた。今週末TOEICの試験だし問題集やろうかなとも思うけど、いまさらやってもねえ。ポッドキャストのリスニングとUSCPAの勉強でどこまでできるか試してみるのもいいかもしれない。

【5月27日の勉強】
○USCPA FAR 問題集1 8.Inventory and Monetary assets 0.75H
Sales allowance 値引。Sales discounts 割引。単語の違いをしっかり認識すること。discounts もsales、Purchasesを構成する。
allowance はsales methodの場合、計算した金額を現在の残高にそのまま追加する。
○英語 Listening Podcast 0.75H

【5月28日の勉強】
○USCPA BEC MA&FM 問題集 4Variable Costingと5Measurement of cost Behavierの途中まで 計6問 0.5H
用語がわからなくて間違えることが多い。単語集でもつくる?
○英語 Listening Podcast 0.5H

【5月29日の勉強】
○USCPA BEC MA&FM 問題集 5.Measurement of cost Behavierの残りと6.CVP analysisの途中まで 6問 0.5H
Contribution Marginが何だったか記憶から消えていた。やはり用語の意味を把握しておかないと。
○英語 Listening Podcast 0.25H

6/01/2009

09/6のまとめ

勉強時間つけわすれてもうわかんない。

【本】
企業戦略論【下】全社戦略編 競争優位の構築と持続 ジェイ・B・バーニー ★★★☆☆
業界分析 組織の経済学—新制度派経済学の応用 菊澤研宗 ★★★☆☆
暗黙知の次元 マイケル・ポランニー ★★★☆☆
芸術起業論 村上隆 ★★★★☆
【超】WORK HACKS! 小山龍介 ★★★★☆
メディアアートの教科書 白井雅人ほか ★★★☆☆
新ネットワーク思考ー世界のしくみを読み解く アルバート・ラズロ・バラバシ ★★★☆☆
兜町コンフィデンシャル—株式市場の裏側で何が起きているのか 高橋篤史  ★★★☆☆
改訂版よくわかる介護・福祉業界 (業界の最新常識) 吉村克己 ★★★☆☆
なるほど図解 IFRSのしくみ あずさ監査法人IFRS本部 ★★★☆☆



【映画】
・いけちゃんとぼく ★★★★★
千と千尋の神隠し ★★★★★
つみきのいえ ★★★★☆
イノセンス ★★★★☆
・今度は愛妻家 ★★★☆☆
・蟹工船 ★★★☆☆
サッドヴァケイション ★★★★☆

【美術館】
・池田亮司展 +/-[the infinite between 0 and 1] @東京都現代美術館 ★★★☆☆
・劇団四季 ウィキッド @四季劇場 海 ★★★★★

【本】企業戦略論【下】全社戦略編 競争優位の構築と持続 ジェイ・B・バーニー

★★★☆☆

下巻は、全社戦略ということで、戦略的提携など企業の境界についての話題が多い。ここでもRBVを下敷きにして説明されているので理論が一貫して分かりやすい。

上中下三巻を通して読めば戦略論で最低限必要とされる知識がたいてい網羅できると思う。RBV以外の理論もちゃんと説明されてぬかりなけれど、ベースはRBVだから理論が一貫している。だから、3巻で1000ページくらいはあるのにとても読みやすくて通読するの苦にならないから、最初の教科書として最適。記述もとても厳密で明解だから後々参照するのにもいい。3冊あわせて7000円超えて高いように見えるけど、それだけの価値がある本です。

09年5月まとめ

【勉強】
○USCPA 8.75H
○英語 7.0H
今月はわりとやったつもりだったけど集計するとそうでもない。

【本】
マクロ経済学 伊藤元重 ★★★★☆
入門マクロ経済学 中谷巌 ★★☆☆☆
クルーグマンマクロ経済学 ポール・クルーグマン ★★★★☆
ミクロ経済学 戦略的アプローチ 梶井厚志/松井彰彦 ★★★★☆
組織の経済学入門—新制度派経済学アプローチ 菊澤研宗 ★★★★★
世界一わかりやすいプロジェクト・マネジメント ベーカー/キャンベル/ベーカー  ★★★☆☆
組織の経済学 ポール・ミルグロム/ジョン・ロバーツ ★★★★★
恋文の技術 森見登美彦 ★★★★☆
企業戦略論【上】基本編 ジェイ・B・バーニー ★★★☆☆
企業戦略論【中】事業戦略編 ジェイ・B・バーニー ★★★☆☆




【マンガ】
花よりも花の如く 7 成田美名子 ★★☆☆☆
ヴァムピール 3 樹なつみ ★★★☆☆
ハイウェイスター 大友克洋 ★★★☆☆



【映画】
・スラムドッグ$ミリオネア ★★★★★
・消されたヘッドライン ★★★☆☆
・ハゲタカ ★★★★☆
長い散歩 ★★★☆☆


【美術館・演劇】
・演劇集団キャラメルボックス「容疑者xの献身」@サンシャイン劇場
・「ザナドゥ」@赤坂ACTシアター